「アバター」 -映画というより巨大な工業製品です。
話題沸騰ということなので観てきました、「アバター」。もちろん3D版です。一部報道によりますと、その映像世界があまりにも素晴らしいので、現実社会とのギャップにげんなりして鬱状態に落ち込む人々が続出しているのだとか。はあ、そうですか(汗)。そんなこんなでストーリーには全く期待せず、どんな画が拝めるのかという一点の興味で足を運んだのですが・・・。
やはり想像していた通りの映画でした(汗)。ネタバレもなにも、トレーラーから予想できるそのまんまのお話で、意外性もなにも全くございません(滝汗)。
自然環境とか文化多様性は大いに尊重しなきゃいけませんよ、というのがテーマといえばテーマなわけですが、企業利益のためなら自然も原住民文化も平気で蹂躙しようとするアメリカ商業主義に対して、自然のため原住民のため徹底抗戦するのも結局のところ一部アメリカ人なわけで、アメリカ独善主義丸出しのしょうもないメッセージが伝わってまいります。
舞台となるのは宇宙のどこかにあるパンドラ(笑)という名の惑星であります。このパンドラ、とにかく自然が美しく、凶暴だったり美しかったりする様々な動植物に満ちあふれています。イメージとしては夢の熱帯雨林、ジャングルですね。
この惑星には宇宙的にみても貴重な鉱石がありまして、それがこともあろうに原住民ナヴィの集落の真下の地中深くに横たわっております。
で、この星のやってきた下半身不随の海兵隊のにいちゃん・・・。おまえ、このアバターに乗り移って原住民社会にとけ込み、連中をうまくたらし込んで立ち退かせろと。うまくいったらその脚を治してやるからと。
当然のことながら(笑)やがて恋仲になるヒロイン・・・。
シガニー・ウィーバー演じる科学者。彼女は当然いいヒト、正しいヒトです。キャメロン好みの女性戦士も登場。彼女も「いい」アメリカ人です。
で、当然ですがことは平和的には進まず戦いに突入しますわね、それは映画ですから。果たしてどうなりますことやら・・・。
といいましても、どっちかが勝ってもう一方が負けるというそれだけの結末です。勝つには勝ったがこれでいいのかとか、自然とはそれほど保護しなければならないものなのかとか、そんな葛藤や不条理感といったものは全くありません。それにしても翼竜たちが少々強すぎるのと、最後のクライマックスとなる戦いが「エイリアン2」「ターミネーター2」と全く変わらない1対1の決闘に持ち込まれたのには笑わされました。
映像は凄いですね。3Dの効果も素晴らしいものがあります。これだけの映像を製作するには、さぞ大変な物量と技術が投入されていることでしょう。凄いです。
凄いのですが、しかしここにセンス・オブ・ワンダーはありません。圧倒的なSFXで描かれるのはアフリカ原住民を模したナヴィ人たち、熱帯雨林、翼竜、目も眩むような高所といったところで、どれもこれもどこかで観たことあるような図柄ばかり。それらがどれほどリアリティに富んだCGで描かれようとも、もう私たちは映像技術だけでは驚きも感心もしなくなってしまいました。50階建てのビルがあるんだから、そりゃ建てようと思えば100階建てだって建てられるよね、技術も進歩してるんだからさ、と。
金にまかせてドバイかどこかで新築なった100階建て超高層ビルを、しようもないなと思いつつもとりあえず見物に行ってみようかと。超話題作「アバター」、そんな軽いお気持ちでご覧になるのがよろしいのではないでしょうか。ま、この100階建てビル、すぐに150階建てのビルが竣工して忘れ去られるとは思いますが。そういえばだいぶ前に話題になった50階建てビルは「ジュラシック・パーク」といいましたっけ(笑)。
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